台風と和風

私はフンと鼻をならした。なにが台風だという気分である。

台風と和風 - 記憶の欠片

2004/09/09UP

 今年は例年に比べ、台風が多いと聞いた。
 台風か……
 私はフンと鼻をならした。なにが台風だという気分である。
 そう、私は、世の中で「風」がつくものほど、いい加減なものはないと思っている。

 たとえば「和風」、「洋風」だ。和風はあくまで和風であって和ではないし、洋風は洋風であって洋そのものではない。「カントリー風」の建物は都会に付き物だ。

 そういえば私が昔働いていたお菓子会社では、「手作り風クッキー」というものを販売していた。手作り風というからには、実際には手作りではないのだ。最初私は手作りではないと言う事を知らなくて、「え、手作りではないんですか?」と、純真無垢な気持ちで聞いたものだった。
「流れ作業で大量生産だよ。ここに手作り風って書いてあるでしょ?」と工場長は事も無げに答えると、クッキー詰め合わせ箱の一点を指差した。指差した箇所は「手作り」という文字と「クッキー」という文字の間で、そこにはひときわちっちゃな文字で「風」と書かれてあった。なるほど。商売というものを初めて知ったような気がした瞬間だった。

 つまり私が言いたいのは、「風」がつくということは、間違いなくその前の文字を否定しているのだということである。「和風」は結局「和」ではないのであり、「手作り風」は工場の流れ作業の産物でしかないのだ。

 ならば台風のなにを恐れることがあるだろう。台風が来たといっても結局は「台」そのものではありはしない。それを証拠に、テーブルなんてどこからも飛んで来ないじゃないか。「風」がつくものなんて、所詮そんなものなのである。

 とか言ってたら、私の生まれ故郷高知を、先日台風が直撃したとニュースでやっていた。「テーブル飛んできた?」電話の向こうの母にふざけてそう言うと、えらい怒られた。どうやら実家はてんやわんやだったらしい。
 ニュースでも、立派な木が突風になぎ倒されている場面をスクープしていた。車も横倒しで、店のカンバンも吹っ飛んでいた。かくゆう私もこの前停電に見舞われて、パソコンの更新中のデータが吹っ飛んだ。なんということだ、台風の猛威とはこんなにもすさまじいものなのか!

 結局、「風」がつくからと言ってそう舐めたものでもないらしい。告白すると、和風ハンバーグも洋風カレーも私の大好物だし、あの手作り風クッキーもベリーデリシャスだった。カントリー風の建物も、都会に疲れている私にとってはひと時のオアシスなのである。

 どうやら私こそが、知った風な口をきいてしまっていたようだ。

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Posted by 千歳 at 2004年09月09日 00:40 EDIT
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